2学期目突入!

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。1ヶ月半の長い冬休みも終わり、2学期に突入しました。そこで、今回は、1学期と2学期の勉強内容の違いについてお話ししたいと思います。

spring_semester22学期は、1学期に比べるとより具体的な内容のもの(翻訳関連の授業はすべて金融・経済)になったので、さらに難しく、勉強しなければいけないことも増えます。また、通訳のほうは、同時通訳の授業が始まりました。1学期に始めた逐次通訳と違い、同時通訳は原文を聞き、理解し、頭の中で訳し、口に出すという行為を瞬時に行なわなければいけないため、練習を重ね、慣れることが大切です。私は先日、同時通訳を始めたばかりなので、今は「大変」という感想しか持っていません。それが、時間と共に「楽しい」に変わってくれればいいのですが、それには努力が必要です。

spring_semester1そこで様々な練習方法があるのですが、私達がやっているのは、シャドウイング、クイックレスポンス、聞きながら数字を数えるなどの並行作業の練習、一文または区切りのいいところで訳す記憶力の訓練です。これらの練習法と同等に大事なのが、良い文章を読んだり聞いたりすることです。今学期に入って痛感するのが、内容がわかっていないと上手く訳せないということです。仮に訳せたとしても、不自然な訳になったり、違う用語を選択してしまったりと失敗が増えてしまいます。日々の積み重ねが一層、大事になってくるのです。

勉強についてばかり書きましたが、勉強の間の息抜きも大切です。ジムに行ったり、友達とおしゃべりをしたり、お菓子を作ったりと勉強とは別の時間を作ることも大学院生として必要です。

以上のことを踏まえて、2学期も楽しく過ごしたいと思います。

法廷通訳への道

皆さんこんにちは。今回はホノルル市内のハワイ州最高裁判所で行われた、法廷通訳のワークショップについてご紹介したいと思います。これはハワイ州内8島にある裁判所で法廷通訳をする通訳者が全員参加義務のあるワークショップで、一年に一度だけ3月に開講されます。朝7時半集合で、夕方の5時まで裁判所内の一室に缶詰で行われ、ハワイ州の裁判所システムの仕組みから、法廷通訳の就業倫理、責任、役割等について学びます。その後通訳について背景知識のない人にために、同時通訳、逐次通訳、サイトトランスレーションについての説明と、言語ごとのグループに分かれてロールプレイも行われました。ロールプレイでは裁判中に起こりうる様々な状況にプロとしてどのように対処すべきかを練習し、フィードバックをもらいました。

参加者の言語は、スペイン語、中国語、ベトナム語、日本語、ロシア語、ドイツ語、タガログ語、イロカノ語の他、マーシャル語やチューク語の話者もいました。インストラクターはハワイ大学の翻訳・通訳センターで法廷通訳のクラスを教えている教授、カピオラニカレッジで手話 (American Sign Language) の法廷通訳と医療通訳のクラスを指導している先生、そして州裁判所で実際に通訳コーディネーターをしている方の3人でした。

ここでいう法廷通訳とは、英語を母語としない被告の人権と知る権利を守るために州裁判所に雇われる通訳者のことです。法廷通訳が他の通訳と違うのは、話者のフィラー(well, let me see, um…など)、感情やトーンを、可能な限り全て忠実に再現する点だそうです。例えば被告が証言台に立って発言するときに、記憶が曖昧など様々な理由で迷いながら発言したり、内容を変えて言い直したりしたものは、全て通訳で再現して、法廷の公式な記録に残す必要があるからです。ただ、被告の感情につられて泣いたり怒ったり、大げさなジェスチャーを繰り返す必要はありません。今学期、同時通訳のクラスでスピーカのフィラーや無駄な繰り返しを省いてまとめ、聞きやすい訳を出すということを習いましたが、法廷通訳では通訳者が訳した言葉の文字通り「全て」が被告の証言として記録に残るため、通訳者は言葉こそ違うものの、話者になりきってなるべく忠実に発言を再現するという作業をしなければならないのです。通訳者は被告の発言の内容はもちろん、感情を声のトーンで表現する他、法廷で使われる様々なレジスターも勝手に変更することはできません。被告の罵り言葉も、判事の読み上げる判決文も、話者による原文のレジスターを正確に反映して通訳することが重要だそうです。通訳中は被告、判事、弁護士、証人の言葉を再現する者として全てFirst person “I”で訳しますが、通訳者が自分のアイデンティティーに戻って話をする場合は混乱を避けるため”I”ではなくて、” The interpreter” と言うことで聞き手のため、また公式の記録上も区別する必要があることも学びました。

またこのワークショップでは言語そのもののテクニックだけでなく、プロとして通訳者がすべきこと、避けるべきことも細かく指導されました。通訳中に誰かの声が小さすぎて聞こえないときどうするか、クライアントである被告が「私はどう答えればいいですか?」と頼ってきたらどうするか、どういう状況下で同通と逐次通訳を切り替えるか、陪審員との関わり方、被告と知り合いだった場合どうするか、弁護士や判事に「○○を被告に説明してください」と言われたらどうするか、審議前に過去の裁判記録や資料をどこで入手するか、どのタイミングで検察側に事前に調書に目を通させてもらえるように頼むか、通訳ミスに気がついたときにどうやって審議の流れを中断せずに訂正するか、通訳としてメディアや陪審員からの質問へどう対応するか等々かなり具体的かつ実践的なスキルを学びました。

3人のインストラクターが何度も念を入れていて印象的だったのが、法廷内での携帯電話の使用についてでした。最近携帯電話はオンライン辞書を使うなど様々な目的で使われますが、いかなる目的であっても、携帯を触っているだけで判事、弁護士、Bailiff(廷吏)など法廷内にいる関係者にかなり悪い印象を与えるので、通訳任務についている間は携帯の電源は切り、絶対にかばんから出さない、あるいは始めから法廷にもちこまないように、と言われました。現役の法廷通訳をしているインストラクターは、法廷内で携帯を取り出すだけでも関係者に不快感を与え、プロとしての意識が低いと思われ次回から依頼が来なくなるのを避けるため、法廷には辞書のみを持ち込み、パソコンと携帯は持ち込まないそうです。ちなみに、場所にもよると思いますが、ハワイ州の最高裁判所では法廷の見学をする際も、殆どの場合パソコン、携帯、カメラ、ビデオ、ボイスレコーダーの持ち込み禁止、飲食はもちろん口の中のガムも禁止、居眠りも厳禁だそうです。基本的に持ち込んでいいのはノートとペンだけ、と言っていました。

ハワイ州の法廷通訳になるにはまず米国での労働資格があり、犯罪歴チェックを通過することが必要です。一年に二度行われる筆記試験に合格してから一年に一度の口頭試験を受験し、どちらも合格すると試験の結果によってレベル別に分けされます。ハワイ州の日本語法廷通訳には2ランクありますが、これによって時給が決まります。その後現役の通訳者の仕事を見学し、実際の仕事に望みます。経験が浅いうちは、信用できる通訳者がどうかを確認するため、法廷で学歴や職歴について判事や弁護士に公式に諮問されることもあり、それらの質問にきちんと答え法廷通訳として能力があることを示さなければいけないそうです。ちなみに連邦政府の法廷通訳資格試験は現在スペイン語とナバホ語のみだそうですが、こちらの口頭試験の合格率は8パーセント以下という難関だそうです。

今回のワークショップはかなり情報量が多く大変でしたが、非常に実りの多い素晴らしい学びでした。これから更に気を引き締めてモントレーで修行を積んで行こう、と改めて思いました。とこのワークショップの参加を快く承諾してくださった先生方、本当にありがとうございました。

 

カリフォルニア州での運転免許証取得

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、モントレーは小さな町で、 車がなくても普段の生活に困ることはほとんどありません。 学生の多くはキャンパスから1キロ圏内に住んでいます。私も学校から徒歩1分のアパートに住んでいるので、普段の生活は歩きが中心です。しかし正直なところ、車の運転ができる私にとっては「こんな時に車があったら…」とか、スーパーで料理用にワインを買おうとした時に、パスポートを持っていないことに気づいて買えなかったりと、不便な思いをすることもあります。(余談ですが、こちらでお酒を買う時、レストランで飲む時、大抵の場合アジア人は若く見られるので、運転免許証などのIDの提示が求められます。)貴重なパスポートを毎日持ち歩く訳にも行かず、車が必要になった時にレンタカーでも運転できるようにということで、カリフォルニア州の運転免許を取得することにしました。

私が運転免許を取ろうと思った時、私の周りの留学生でカリフォルニア州の免許を取った人はほとんどいませんでした。インターネットで情報収集すれば、駐在員の多いロサンゼルスやサンフランシスコにいる日本人がブログ等で免許の取得方法について書いています。しかし、こちらでは地域によって取得方法や必要書類など若干異なることもあります。日本では大抵の事がスムーズに進むので、日本人留学生が運転免許を取るにあたり、不安に思うことや混乱することがあるかも知れません。今回は私がモントレーで運転免許を取得したときの経験についてシェアしたいと思います。

運転免許を取ろうと思ってから最初にしたことは、運転免許センター(The Department of Motor Vehicles/DMV)を探すことです。モントレーから最寄りのDMVはSeasideにあります。SeasideのDMVまではバスで10分、更にバス停から徒歩10分程のところにあります。私は事前にホームページで申請書類等について確認し、DMVに行く当日に、オンラインで筆記試験の過去問を探して二時間ほど勉強しました。運転経験のある人であれば、それほど難しい試験ではありません。また、日本語でも受験できるので心配ありません。

DMVによっては新規の運転免許証申請の際に予約してから行く必要があるオフィスもあるようですが、私は予約しませんでした。というより、オンラインの予約システムで新規申請者のための予約欄を見つけることができませんでした。なので、直接DMVの窓口に行き、新規で運転免許を申請したい旨を伝え、申請書を貰って記入しました。それから記入済みの申請書、パスポートとI-94(入国審査の時にパスポートにホッチキス留めされるカードのようなもの)を提出し、視力検査、申請料金31ドルの支払い、指紋の採取、写真撮影を済ませてから筆記試験を受けました。申請の際にソーシャルセキュリティ番号が必要だの不要だの情報が錯綜しています。私は以前ワシントンD.C.に住んでいた時にソーシャルセキュリティ番号を取得していたので特に問題ありませんでした。ソーシャルセキュリティを取得していない方が免許の申請をする場合は、ご自身で必要の有無を確認するようにして下さい。

筆記試験は前述した通り日本語でも受験可能です。オンライン上に掲載されていた過去問の日本語は若干不自然で、英語で受験した方が良いという声もありました。私は日本語で受験しましたが、その時の日本語はかなり改善されて、自然だったように記憶しています。試験は選択問題なので事前に勉強しておけば大丈夫です。交通規則について36問、標識について12問の計48問で、42問以上正解で合格です。試験の採点が終わると、窓口に呼ばれて合否が伝えられます。その際に日本や他州で運転免許を持っているか聞かれます。私は日本の運転免許を持っているのでその旨を伝えると、それを提示するように求められました。提示すると、日本の免許証の裏側に「not valid in California 」というようなステッカーを貼られました。それから仮免許証を受け取り、そのまま同じ窓口で実技試験の予約をしました。実技試験の予約は取りづらく、学校の授業時間を考慮したりすると、筆記試験から1ヶ月後くらいでした。

車を持っていない留学生にとって問題となるのが実技試験の車をどうするかです。こちらでは実技試験の車を自分で用意しなければなりません。最初、私はクラスメイトに車を貸してもらおうかと考えました。しかしながら、実技試験の車は万が一のために自分の名前で保険に加入しておく必要がある為、クラスメイトの車を借りると、かなり面倒なことになると分かりました。色々オンラインで情報収集した結果、私の仮免許証でレンタカーを借りることができると分かり、レンタカーを使うことにしました。どうやら、こちらの仮免許証には二種類あるようで、一つは全く運転経験のない人が路上練習するための仮免許証で、もう一つは仮免許証というよりも2ヶ月限定の運転免許証です。私は運転経験があったため、後者の仮免許証を貰っていました。レンタカーの費用は保険とあわせて$60〜70くらいだったと記憶しています。インターネットで最寄りのレンタカーショップを探して車を予約しました。来店した時に保険をフルカバーでかけたい旨を伝え、 vehicle registration(車両登録証) がきちんと車にあるか確認してからDMVに向かいました。

実技試験当日は、試験開始時間20分ほど前に予め教えてもらっていた番号の窓口に行き、車両登録証と保険証を提示しました。それから、駐車場から指定された実技試験受験者用の待機レーンに車を移動するように言われ、そこで試験官が来るのをしばらく待ちました。試験官が来ると試験についての説明を受け、最初に手信号や車の機能についての簡単なテストを受けてから、DMV外の住宅地を走りました。試験官の指示に従い右折、左折、レーン変更し、途中の路肩で車を停めるように言われ、バックで曲がらずに進めるかなどをテストされました。地域によっては縦列駐車の試験があるようですが、私の時は単にバックで縁石と車を平行に保ったまま運転出来るかを確認されました。試験時間は20分ほどで、標識に従い、きちんと安全確認すればそれほど難しい試験ではありません。ただし、日本で車線変更する際の目視はちらっと後方を確認する程度だと思います。しかし、こちらでは大げさに振り向いてしっかりと確認しないと、減点の対象となります。これが実技試験で気をつける点かと思います。

DMVに戻るとすぐに、車内で試験官から合否を教えてもらいます。合格した場合は試験結果の紙を持って窓口に行き、本免許証が届くまでの暫定免許証を発行してもらいます。私の場合は実技試験から免許証が自宅に届くまでに二週間ほどかかりました。発送時期はホリデーシーズンなどを挟んだりすると、かなり遅くなることもあるようです。

国際運転免許証でも運転できるようですが、「州内に住居を定めた日から10日以内に州政府の発給した運転免許証を取得しなければならない」と書いてあるホームページもあります。私自身、これについて詳細はわかりませんので、国際免許証で運転することを考えている方がいましたら、必ずご自身で確認してから運転するようお願いします。また、日本と違ってアメリカの場合は担当者、管轄DMVによって情報が違うということはよくあります。DMVに行く前に、DMVのホームページやオフィスに直接電話をして、必要書類等を確認することを強くお勧めします。

この情報がみなさんのモントレーでの生活に役立てば幸いです。

One Week Diary of a 2nd-Year Conference Interpretation Student

過酷で寝る暇もないのか、試験だらけで常にプレッシャーを感じているのか、それとも意外に楽なのか……私はモントレー国際大学院(MIIS)に来る前に、日本語プログラムの学生がどんな1週間を過ごしているのか気になって仕方がありませんでした。

残念ながらそれを知る術がないままMIISの学業を始めたのですが、知っていればもう少し楽に学業に軟着陸soft landingできたのでは、と振り返って思います。潜在的な後輩のみなさんにはそんな経験はして欲しくない、という思いから、今回は2年次で会議通訳コースを専攻する森田がこの春学期にどんな1週間を送っているのかご紹介したいと思います。

まずは月曜日。新たな1週間はこの最もハードな日から始まります。10:00~11:50は英日の逐次通訳。続けて12:00~13:50は日英の逐次通訳。両クラスともにスピーチを2分ほどに区切り、そこで当てられた学生が取ったノートをみながら逐次通訳を披露します。その後、パフォーマンスに対して教授およびクラスメートからのコメントが飛び交います。トピックは秋学期が経済・金融、そしてこの春学期は技術と政治。毎回、いつ当てられるか分からない緊張感で教室が満たされますが、貴重なコメントは自分の通訳力を伸ばすよいきっかけとなります。「プロとしてお金をもらうようになったら誰も注意してくれず知らぬ間にクビになるだけ」。このフレーズは日本語プログラムでよく耳にする金言です。

14:00~15:50は週2回ある日英の翻訳の授業です。教室が離れているため、前の授業が終わると駆け足で2ブロック離れた建物へ移動。MIISは教室が1つのビルにまとまっているのではなく、3つのストリートを跨ってこぢんまりとした建物・教室が点在しているのです。急ぐあまり交差点でまで行かずにjaywalkする学生もいますが、取り締まりがあることもあるので要注意。

火曜日の授業は10:00~11:50の英日の同時通訳のみ。トピックやその日の体調によってうまくいったりいかなかったりします。ですので、背景知識と体調管理は通訳者には欠かせません。通訳者がアスリートに例えられることが多いのもこの辺りから来ているのでしょう。ガラガラ声の通訳なんて聞きたくないですもんね。またフリーランス通訳者が体調を崩した場合、代わりはおらず、穴を開けたら次回から仕事が来なくなり、死活問題にもつながります。

火曜日の授業終了後はクラスメートと「サイトラ」の練習をしています。「サイトラ」と聞いて動物の「サイ」と「虎」を思い浮かべた、という笑い話がありますが、「サイトラ」は「サイトトランスレーションsight translation」の略語。最新号の『The Economist』などから記事を1つ選び出し、大体4~6段落を2分間で速読します。その後、〈「最初はグー、じゃんけんぽん」で勝った人〉(これがMIISの伝統になっています)が半分に当たる2~3段落を目で追いながら前から訳出していきます。前から訳していくため同時通訳の訓練になるとともに、最新の経済動向を把握し、また簡潔で無駄のない上質の英語に触れるよい機会となります。訳出が終わったらもう1人がそれについてコメントし、その後、役割を交代します。

水曜日の授業は14:00~15:50の日英の翻訳の授業だけなので、朝はゆっくりできます。大抵は授業の予習、たまっているEメールや新聞の処理で終わってしまいます。授業ではまず課題が配布されます。そして制限時間内に学生が翻訳に取り組み、ネット経由で披露された翻訳を教授が評価し、またクラスメートがコメントします。1人で取り組みがちな翻訳の作業に〈他者の目〉を入れることができるので、自分の翻訳を異なる視点から見つめ直し、またクラスメートの訳出と比較することのできる又とない機会です。英語のネイティブ話者ではない私にとって、この授業は英語力アップにも直結しています。

授業後はクラスメートと1時間ほど逐次通訳の練習。練習場所は食堂が併設されているSamson Student Center(写真参照)。練習の内容は授業の予習か試験準備が中心で、英日なのか日英なのかはその日に決めています。1人でもできる作業かも知れませんが、友人との共同作業で学ぶことは多く、また彼/女からもらうコメントは有難いものばかり。「翻訳通訳学部の授業を1人で乗り越えるのは難しい」と最初のオリエンテーションで釘を刺されましたが、まさに的を射ていました。時に厳しいコメントをもらうこともありますが、「学び合う姿勢」、これが学業を乗り越えるコツの1つです。

 

木曜日は授業がないので、クラスメート3人とそれぞれ1時間ずつ午後に練習しています。この日は日英のサイトラ、そして英日・日英の逐次通訳を練習しました。逐次の練習教材としてはYouTubeやTEDxの映像を使って行います。特に、ボランティアの手による日本語翻訳プロジェクトが進行中のTEDxの動画には世界を賑わせている「有名人」が登場し、専門とする分野の最新動向をプレゼンしてくれるため、練習ツールとして手放しがたいものになっています。

そしてやっと金曜日。月曜と同様、金曜日にも3つの授業があります。1つ目は朝8時にスタートするTranslation & Interpretation as a Profession。現在進行形の授業なのですが、これまで学んだ内容としては「フリーの翻訳者・通訳者になった際の仕事の請け負い方、見積もりの方法」「顧客関係の構築方法」などが挙げられます。実務に即した形で授業内容が構成されています。

2時限目は日英の同時通訳の授業。ブースに入り、日本語の音声を聞きながら英語に通訳していきます。またウィスパリング通訳やビデオ通訳、機器を使った通訳など、実際の現場を想定した訓練も行われます。訓練はすべて、卒業時点で完成されたプロの卵になっていることを目指して行われます。

ランチブレークをはさんで1週間最後の授業は14:00~15:50のInterpretation Practicum。この授業は会議通訳を専攻する各言語プログラム(日本語・韓国語・中国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語)の仲間が一堂に会し、実践経験が豊富な2人の優れた教授陣を中心にプロの通訳者としての育成が行われます。実際の通訳の手法のみならず、3言語以上の通訳が発生するリレー通訳の方法、また通訳があるイベントをどう組織するのかということまで学びます。毎週、Practicumの学生のうち2人がCI(Chief Interpreter;通訳責任者)となり、その週に開かれるイベント・授業に通訳者を割り当てて通訳を組織化するとともに、会場や機器の手配など事前・当日の準備に従事します。前回のブログ(http://sites.middlebury.edu/tijapanese/2012/02/17/fall-forum-2011/)でお伝えしたFall ForumもPracticumの学生が組織運営したものです。このPracticumの授業は基本的に会議通訳コースの学生しか受講することができません。このブログを読んでPracticumに興味を持たれた方はぜひ会議通訳コースへ!

そして週末の土日は学会で通訳のボランティアをしたりPracticumの一部としてイベントで通訳演習を行ったりすることもありますが、原則はお休み。大抵は課題や次週の授業の予習、また日本から持ってきている翻訳の仕事に追われて終わってしまいますが、友人と食事をしたり、ジムで汗を流したり、テニスをしてストレスを発散したりすることもあります。うまく気分転換をし、心と体のバランスを取ることができることも学業を乗り切る1つの秘訣です。

と、このようなスケジュールの繰り返しで学期の約15週間が過ぎていきます。

ここまで読んでいただいた皆さんはMIISの学業の様子を垣間見ることができたと思いますが、いかがでしたでしょうか。これを読んで同大学院への関心がさらに高まっていれば、と思います。

モルダウ捜査官とヨロヨロハイヒール

会場の片隅で薄汚い灰色のパンプスからシャープな黒のハイヒールに履き替えていざ出陣。目はFBIブースに釘付け、しかし果たして転ばずにあそこまで行けるだろうか、、。

 

モントレー大学院では毎年春に就職フェアが開催されます。このフェアでは、キャンパスからほど近いホテルのイベントホールを借り切って、MIISの学生専用の就職活動の場が提供されます。これはもちろん5月に卒業を控えた二年生の就活の場になるだけでなく、私たち一年生にとっても夏のインターンシップを探したり、フリーランスの仕事のきっかけ作りや登録をしたり、就職先の目安をつけたりと、とても意義深いイベントです。

2月24日に行われた今年のフェアの参加企業は翻訳・通訳・ローカライゼーション関係だけでも47団体、そのうち日本語関連の仕事のオファーがある団体が30以上。主な参加企業は、ホンダ、スタンフォード大学病院、国連の知的財産管理団体であるWIPO (World Intellectual Property Organization) の他、Apple、Facebook、FBI、CIA、楽天、そして多数の翻訳・通訳のエージェントが来ていました。朝9時の開会から参加企業の代表の方たちに履歴書を渡したり、仕事の内容を詳しく聞いたりしているうちに、あっという間に閉会の時間になってしまいました。

その後カリフォルニア州裁判所の法廷通訳試験の説明会、授業二つ、プレゼン発表、授業の後更にインターンシップ説明会に参加、翌朝提出期限の課題を終わらせ、帰宅した時には着替える気力もないくらい疲労困憊。来年のフェアの日は、授業を振り替えていただけるように先生方にお願いしてみよう、などと考えつつベッドまでよたよたと這って行き、力尽きました。

 

就職フェアに向けた準備として私がしたことは、まず過去にインターンをしたことのある先輩や先生方に体験談を伺いました。学校の勉強が一段落した冬休み中に自分の履歴書とカバーレターを練り直し、それらを経験豊富なアドバイザーに添削してもらいながら更に内容に磨きをかけました。1月は冬休みでモントレーに残っている学生がほとんどいないので、普段は多忙なアドバイザーにゆっくり会ってアドバイスをいただくチャンスでした。フェアの開催日の前にインターンシップの募集を締切る団体もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

またフェアに臨むにあたり、学校主催で数週間前から複数のワークショップが用意され、面接の練習や、心構え、服装、持ち物まで、かなり詳細なアドバイスをもらえるので、授業スケジュールが許す限り参加しておくといいと思います。また、参加企業の中でも特に興味のある団体については下調べをきちんとしておけば、担当者に的確な質問をして第一印象アップ!その上、当日会場での短い時間を有効に使うことができます。

フェア前日に心優しいクラスメートにスーツ、シャツ、ハイヒールなど何から何まで貸してもらい、当日は早く起きて、シャワーを浴び、朝食をとり、すっかり忘れていた課題二つを締め切り時間ギリギリで提出し(良い子の皆さんはなるべく前の日までに終わらせましょう!)、大急ぎで着替えをすませて会場へ。

実はこの日一番のワクワクと言えば、生でFBI、CIA、Department of State(米国務省)のスタッフを見たこと!日本人むけの募集はしていなかったものの、「今ここでテロが起きてもいざとなったらきっとこの地味なおじさんたちがトミー・リー・ジョーンズばりのかっこよさで救ってくれるに違いない」という確信をもって心ゆくまでフェアを回ることができました。皆さん「モルダウ捜査官あれから10年後」くらいの渋い年齢層の方で素敵でした。あぁ麗しのFBI捜査官様。ずっと昔福島県の小さな八百屋さんで小さな日本人のおばあさんの変装をしていたけど、うっかり背中に大きくFBIとかいてあるジャケットを着てしまっていたあなたを見かけた日以来の再会でしたね。

 

何はともあれ、今回の就職フェアは私にとってとても有意義であり、翻訳・通訳がうまくなりたい、という気持ちがますます強くなりました。プロとして仕事をするのは遥かな夢ではなく、がんばれば近い将来実現するかもしれない、とも感じた一日でした。普段履かないハイヒールと普段着ないスーツでヨロヨロと歩き回ったこの日の成果やいかに。その結末はまたいつか。

 

English Preparation for Translation & Interpretation (EPTI)

English Preparation for Translation & Interpretationは毎年7月上旬から8月上旬まで開講する6週間の英語集中プログラムです。 このコースはエプティ(EPTI)と呼ばれ、 通訳・翻訳専攻予定の学生のためにカリキュラムが組まれています。午前8時半から12時までのクラスにはWritten/Oral skillsとCultural Contentがあり、Written/Oral skillsでは通訳・翻訳についての理論や基礎を学びます。Cultural Contentでは通訳・翻訳には欠かせない経済、金融、法、国際機関などをテーマに、ニュースや新聞等を教材にしてプレゼンテーションやディスカッションを行い、総合的な英語力を強化します。午後1時から2時半までは、隔日で発音のクラスと経験豊富なMIISの教授によるT&I(Translation & Interpretation) ワークショップがあります。

出願時の早期診断テスト(Early Diagnostic Test)の結果が若干基準に満たなかったか、英語圏での留学等の経験がほとんどない場合、EPTI受講を条件にMIISに合格した学生がこのプログラムに参加します。EPTIに試験はありませんが、秋学期からの大学院に進むためには合格点以上の成績を修める必要があります。

私自身、昨年7/5~8/12まで EPTIを受講しました。MIISに来るまで英語圏への留学経験が全くなく、大学を卒業してから5年近く経っていたので、EPTIでの6週間は大学院生活に備えるための貴重な時間となりました。クラスメイトは中国人10名、台湾人2名、韓国人と日本人各1名の計14名でした。実際のT&Iプログラム同様、中国勢に押され気味でしたが、彼らのガッツに頭が下がる毎日でした。幼稚園~大学まで純日本の教育を受けた私は、とにかく人前で話したり意見を言うことが苦手で、ほぼ毎日あったディベート、ディスカッション、そしてプレゼンテーションに緊張の日々でした。毎日の課題も決して少ないとは言えず、土日も宿題に追われていましたが、EPTIで学んだ通訳・翻訳理論や国際機関等についての背景知識がT&Iでの実際の授業で非常に役に立っています。

2012年秋入学のMIIS独自の奨学金選考対象となる出願締め切りは3月12日です。英語力に自信がなく、MIISのT&Iへの出願を迷っている方がいましたら、まずはアプリケーションを提出し、早期診断テストを受験されることをお勧めします。テスト結果が若干基準に満たない場合でも、受験者の英語力以外(職務経験等)で合否を判断し、英語力の向上を条件に合格する可能性もあります。また、毎年優秀な通訳者・翻訳者を輩出する学校として、MIISではEPTIだけでなく、T&I以外の学科専攻予定の学生のためのEnglish Preparation for Graduate Studies英語集中プログラム(ESL) など定評ある様々な語学プログラムを提供しております。ですので、T&Iに出願する前に英語力を高めたい方にもぴったりなプログラムが見つかるかと思います。

今年のEPTIは7月2日~8月10日に開講予定です。費用・受講方法などの詳細についてはMIISのホームページをご確認ください。

Fall Forum 2011

こんにちは、森田系太郎と申します。ここモントレー国際大学院のT&I(Translation & Interpretation)日本語プログラムの2年次に在籍しており、CI(Conference Interpretation;同時通訳)を専攻しています。

このブログ上では繰り返しになるかも知れませんが、T&Iのプログラムはさらに4つの専攻に分かれています。TLM(Translation Localization Management;翻訳ローカライゼーション管理)、T(Translation;翻訳)、T&I(Translation & Interpretation;翻訳と通訳)、そしてCIです。

このCIまたT&Iの学生のうち希望者が2年次の秋に経験するのが Fall Forumです(ウェブサイトはこちら:http://sites.middlebury.edu/fallforum2011/)。希望者は、100人以上の収容空間を有すると思われるIrvine講堂で2分程度の逐次通訳を行うことになります。したがって当大学院ではプロの通訳者になるための一種の「通過儀礼rite of passage」の1つとみなされています。または「度胸試し」と言って もよいでしょう。

僕も参加した2011年のFall Forumは11月18日(金)の14時から18時にかけて開催されました。昨年のテーマは「性教育」と刺激的でしたが、今年のテーマも刺激的で “Are You Really Free . . . ?”でした。つまり「あなたは今、本当に自由ですか・・・?」。Forumの紹介文には次のようにありました。

“Many of us take freedom for granted as a universal right, but the struggle for freedom has caused countless conflicts, and even war.”(私たちの多くは自由が1つの普遍的権利であると当然のことのように考えています。しかしこれまで自由を獲得するための闘争によって数知れぬ紛争、時には戦争まで生じています。)

日常生活を何気なく送っていれば問いかけることを忘れてしまうような、虚を突くようなこの命題。これをめぐって3つのセッションが開かれました。

3つのセッションとは「第1セッション:移民」「第2セッション:新しいテクノロジー」「第3セッション:ジェンダー(性)役割」です。当大学院に在籍する様々 な経歴・職歴を持った教員・学生にスピーカーとなってもらい、各テーマについて自国の言語で語ってもらいます。そして参加を決めた通訳を学ぶ学生は通訳者としてスピーチを聞き、ノートを取り、聴衆の前で通訳を披露します。

日本語話者のスピーカーが登場したのは第2、3セッションでした。第2セッションのスピーカーは本校MBAコースに在籍中の日本人留学生で、約1年前に発生した未曾有の災害「東日本大震災」の際にFacebookやTwitter といった新テクノロジーがいかに役立ったのかを、震災当日を振り返りながら話してくださいました。それを日本語プログラムのT&IとCIの学生1人ずつが逐次通訳を行いました。

一方、第3セッションのスピーカーはT&I在籍の日本人留学生で、日本のメディアにおいて同性愛がどのように扱われているのかについて意見を述べました。その後、CIの学生2人が逐次通訳を行いました。この学生2人のうちの1人が僕でした。

当日、自分の出番になるまでは「演台では緊張するかな・・・」と不安を抱えていました。しかし実際始まってみるとノート取りに夢中になり、その結果、それほど緊張しなくても済みました。しかし授業や友人との練習とは異なる大舞台での通訳ということでうまくノートが取れず、最後の方では一時、間が空いてしまってヒヤッとした場面も。ですが最後は何とか無事終わらせることができました。

毎年、このFall Forumでは極度に緊張してしまってまったく通訳ができなくなってしまう学生や泣き出してしまう学生が1人は出るそうです。しかし今年はそのような学生は1人もおらず、全体的に成功裡に終了しました。

尚、僕は通訳に加え、第2セッションの司会を務めるという機会にも恵まれました。司会は日本語で行い、CIの学生1人が通訳を担当しました。僕も東京で震災を経験し、 また仙台出身で震災時に家族が仙台にいたということもあり、震災の際に新テクノロジーがいかに効果を発揮したのかについて少し話させてもらいました(司会の様子は写真を参照)。

このブログをお読みの皆さんはモントレー国際大学院への入学をお考えの方が多いと推察します。もしCIもしくはT&Iとして入学された場合にはぜひこのFall Forumへ参加してみてください。素晴らしい体験、つまりプロの通訳者になるための度胸がきっとつきますよ。この意味でFall Forumはまさに通過儀礼なのです。

入学までにしておいた方が良いこと

みなさん、こんにちは。T&I一年の棚田周子と申します。私は日本の大学を卒業後、東京で3年、ワシントンD.C.で2年、計5年働いてからモントレー国際大学院に来ました。このブログを読んでいる方は、MIISの通訳・翻訳プログラムに興味があり、すでに出願した、もしくは将来出願を考えている方が多いかと思います。今回は、日本語T&Iプログラムを志望している方のために、入学までにしておいた方が良いことについて書こうと思います。

●母国語の強化

英語ネイティブは日本語、日本語ネイティブは英語の勉強にどうしても重点を置きがちですが、母国語が最も大事であることを忘れてはいけません。外国語を勉強している方であれば、一度は聞いたことがあるかも知れませんが、母国語以上に外国語が上達することはありません。英語も日本語も中途半端なままでは、プロの通訳者・翻訳家としては話になりません。特に日本人の留学生は、出願前はTOEFLやIELTSの勉強に集中してしまいがちですが、日本語の新聞の音読やテレビニュースを見るなどして、日本語力の強化に励みましょう。お勧めの勉強方法の一つとしては、朝日新聞の天声人語を毎日書き写すことです。ご存知の方も多いかと思いますが、天声人語は知識・文章力の向上に役立つとよく言われています。私も大学受験の時や、就職活動のときに天声人語を書き写すようにと言われた覚えがありますが、結局モントレーに来てから、天声人語の書き写しを始めました。課題で忙しい時もあるので全文写すのは大変ですが、 出来るだけ毎日全文書き写し、音読するようにしています。 全文でなくても、毎日5分間、1年続けると効果があるそうです。これは英語ネイティブの日本語力強化にもお勧めです。

MIISのホームページには、入学までの語学力の高め方について書かれたページ(「10 Ways to Prepare」)がありますので、そちらも参考までにご覧下さい。

●背景知識

通訳者・翻訳家にとって背景知識は非常に重要です。世界情勢を知っておくことはもちろんのこと、政治、経済、テクノロジー、医療など、ここでは挙げきれないくらい多くのトピックを取り扱います。私自身、MIISに入学してから実際の授業で「もっと背景知識があれば…」と痛感することが多々あります。自分の好きな分野はもちろんのこと、苦手な分野についても雑誌や本、ウェブサイトなのでパラレルリーディング(日本語英語の両方で同じ内容のものを読んでみる)すると非常に勉強になると思います。実際、入学後は課題で忙しく、課題以外の勉強時間を見つけるのが非常に大変です。余裕のある入学前に色々な分野の背景知識を身につけておくと、入学後に役立つかと思います。また、日本語と英語では単位換算や数字の表現が違うため、特に通訳の際には苦労します。早いうちに温度や長さ、距離などの単位換算をマスターし、数字表現を自由自在に言えるようにしておくと楽です。さらに、各国首脳・首都や大洋の名前を覚えることと、国際機関などについて勉強しておくこともお勧めします。

●職務経験

必ずしも職務経験は必要ではありませんが、今年の日本語T&Iの1年生を見ると、大学卒業後2〜3年以上の職務経験がある学生がほとんどです。私は、大学卒業前に「将来通訳・翻訳を勉強する」と決めていたのですが、多くの方から色々な経験があった方が通訳者・翻訳者としての幅が広がるとアドバイスを頂きました。そこで、日本の企業に就職し、転職して海外で働き、大学院に留学するという計画を立てました。実際、大学卒業後は東京にある企業で1年半働き、その後アメリカのワシントンDCにある日本政府機関で2年働き、帰国後は東京の特許法律事務所で1年半働いてからモントレーに来ました。ワシントンD.C.と特許法律事務所では、専門知識や通訳・翻訳業務に通じるスキルを身につけることができましたが、それ以上に、一番最初の会社で日本のビジネスマナーを叩き込まれたことが本当に役立っていると思います。MIISに入学した時点で、先生方は学生のことを「将来の同僚」として見ています。将来の通訳・翻訳のプロとして、時間に正確であることはもちろんのこと、言葉遣いであったり、メールのマナーであったり、些細なことが重要視されています。特に、日本のビジネスマナーは他国に比べて厳しいですが、通訳・翻訳の世界では好まれるマナーだと思います。本で読むよりも、チャンスがあれば実際に働いて、経験してみる方が色々な意味で勉強になると思います。

ここにあるアドバイスはほんの一部にしか過ぎませんが、参考になれば幸いです。すでに出願した方も、これから出願する方も、将来MIISの一員として、みなさんにどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

モントレーのファーマーズマーケット

私は南カリフォルニアのアナハイム市に生まれ育ち、大学からは北カリフォルニアのベイエリアで暮らしてきました。日本より少し大きなこの州は、広大な自然と世界をリードする大都市が存在し、様々な国のカルチャーがミックスされた、とてもエキサイティングなところです。

 
そ してこの度モントレー学院に入学し、改めてカリフォルニアの美しさに感動しました。まるで車のコマーシャルに出てくるような壮大な海岸線がつづく17マイ ルドライブ、こじんまりとした高級リゾートの街カーメル、あちこちに点在するワールドクラスのゴルフ場は、ゴルフをしない人でも憧れてしまいます。私はこの素晴らしい環境の中で、これから2年間学び暮らせることを、とても幸せに感じています。

 
では、私が気に入ってるモントレー生活の一部を 紹 介します。一番楽しみにしているのは、毎週火曜日に開かれるファーマーズマーケットです。ダウンタウンの道路が2ブロック歩行者天国になり、ローカルの農 家がブースを出し、新鮮なオーガニック野菜が色とりどり並べられます。その中には今まで目にしたことのない野菜があったりします。農家のおじさんやおばさ ん達はとても親切で、珍しい野菜の説明から調理法まであらゆるアドバイスしてくれます。野菜や果物以外にもおいしいペストリーやケバブ、あらゆる種類のス ナックが売っていて、それを食べ歩きしながらバンドのライブ演奏を聞いていると、もうお祭り気分になってしまいます。

 
こうして毎週ファーマーズマーケットに顔を出していると知り合いも増え、いつの間にかコミュニティの一員なれた感じがしてきます。モントレーは都会とは違い、人との関わり合 いが温かくとても居心地の良い心休まるところです。私は、これからもっとコミュニティ活動に参加して、沢山の出会いしていきたいと思っています。

 

Localization(ローカリゼーション)とは一体なに?

こんにちは。私は翻訳・ローカリゼーション管理専攻一年のイーラムです。
香港出身で、アメリカ生活はちょうど8年目を迎えました。日本語学習歴は約12年です。、時々、自分が英語・日本語の翻訳・ローカリゼーションプログラムにいることを考えると、不思議に感じています。。。

さてさて、翻訳と通訳はよく耳にしますが、「ローカリゼーション」とは何でしょう?

MIISに受かった後、よくあったパターンはこんな感じでした。

イーラム:「やった!念願の大学院に受かった!」
家族/友人/上司/取引先:「おめでとう!で、イーラムは何を勉強するの?」
「翻訳とローカリゼーション管理」
「。。。。え?何それ?」

全然知られていなくてとても寂しいです。。。

ローカリゼーションとは、単純な「翻訳」ではなく、対象となる市場の言葉と文化を考えながら「地域化」することです。例えば、自転車(bicycle)を中国語に翻訳すると言っても、地域によって少し違う言葉が使われています。
例えば…
中国:自行車
香港:単車(漢字は少し違いますが)
香港の人は「自行車」でも分かりますが、違和感を感じます。「自分の言葉ではない」と感じ、その翻訳された言葉にあまり共感できません。意味が通じても、「共感」がないと、いくら「自行車」をプロモーションし、売ろうとしても、成功は難しいかと思います。世界中に、このようなケースは実は多くあります。例えば、スペイン、メキシコ、アルゼンチンで使うスペイン語、それぞれ少し違います。

「ローカリゼーション」は「言葉の適切さ」だけではなく、色々な配慮も必要です。例えば、ウェブサイトなら文字の配列、長さ、読みやすさ、単位の変換(日本円から米ドルなど)、デザイン、文字の色なども考えなければいけません。もちろん、まず根本的翻訳される言語のマーケットに合う商品を作らなければならないケースも多いでしょう。日経ビジネスで結構興味深い記事がいくつありましたので、ご紹介します。

1.「マルちゃんする」とメキシコで独自解釈されたカップ麺
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101013/216622/

2.世界各地で何が売れるか、“目的地”を示す「地図」が必要だ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101013/216615/

MIISでは、翻訳とウェブサイトやソフトウェア等のローカリゼーションがメインですが、ビジネスクラスのコース(会計、マーケティングなど)も必修です。さらに、3年で翻訳・ローカリゼーション管理修士号とMBAを取得することも可能です。2年しか時間がない場合、MBAの代りにBusiness Foundation Certificateを取るのもいいアイデアかもしれません。

さて、期末試験はもうすぐです。無事に乗り越えるように、日々翻訳と論文を頑張っています。。。ではでは!