Monthly Archives: February 2012

English Preparation for Translation & Interpretation (EPTI)

English Preparation for Translation & Interpretationは毎年7月上旬から8月上旬まで開講する6週間の英語集中プログラムです。 このコースはエプティ(EPTI)と呼ばれ、 通訳・翻訳専攻予定の学生のためにカリキュラムが組まれています。午前8時半から12時までのクラスにはWritten/Oral skillsとCultural Contentがあり、Written/Oral skillsでは通訳・翻訳についての理論や基礎を学びます。Cultural Contentでは通訳・翻訳には欠かせない経済、金融、法、国際機関などをテーマに、ニュースや新聞等を教材にしてプレゼンテーションやディスカッションを行い、総合的な英語力を強化します。午後1時から2時半までは、隔日で発音のクラスと経験豊富なMIISの教授によるT&I(Translation & Interpretation) ワークショップがあります。

出願時の早期診断テスト(Early Diagnostic Test)の結果が若干基準に満たなかったか、英語圏での留学等の経験がほとんどない場合、EPTI受講を条件にMIISに合格した学生がこのプログラムに参加します。EPTIに試験はありませんが、秋学期からの大学院に進むためには合格点以上の成績を修める必要があります。

私自身、昨年7/5~8/12まで EPTIを受講しました。MIISに来るまで英語圏への留学経験が全くなく、大学を卒業してから5年近く経っていたので、EPTIでの6週間は大学院生活に備えるための貴重な時間となりました。クラスメイトは中国人10名、台湾人2名、韓国人と日本人各1名の計14名でした。実際のT&Iプログラム同様、中国勢に押され気味でしたが、彼らのガッツに頭が下がる毎日でした。幼稚園~大学まで純日本の教育を受けた私は、とにかく人前で話したり意見を言うことが苦手で、ほぼ毎日あったディベート、ディスカッション、そしてプレゼンテーションに緊張の日々でした。毎日の課題も決して少ないとは言えず、土日も宿題に追われていましたが、EPTIで学んだ通訳・翻訳理論や国際機関等についての背景知識がT&Iでの実際の授業で非常に役に立っています。

2012年秋入学のMIIS独自の奨学金選考対象となる出願締め切りは3月12日です。英語力に自信がなく、MIISのT&Iへの出願を迷っている方がいましたら、まずはアプリケーションを提出し、早期診断テストを受験されることをお勧めします。テスト結果が若干基準に満たない場合でも、受験者の英語力以外(職務経験等)で合否を判断し、英語力の向上を条件に合格する可能性もあります。また、毎年優秀な通訳者・翻訳者を輩出する学校として、MIISではEPTIだけでなく、T&I以外の学科専攻予定の学生のためのEnglish Preparation for Graduate Studies英語集中プログラム(ESL) など定評ある様々な語学プログラムを提供しております。ですので、T&Iに出願する前に英語力を高めたい方にもぴったりなプログラムが見つかるかと思います。

今年のEPTIは7月2日~8月10日に開講予定です。費用・受講方法などの詳細についてはMIISのホームページをご確認ください。

Fall Forum 2011

こんにちは、森田系太郎と申します。ここモントレー国際大学院のT&I(Translation & Interpretation)日本語プログラムの2年次に在籍しており、CI(Conference Interpretation;同時通訳)を専攻しています。

このブログ上では繰り返しになるかも知れませんが、T&Iのプログラムはさらに4つの専攻に分かれています。TLM(Translation Localization Management;翻訳ローカライゼーション管理)、T(Translation;翻訳)、T&I(Translation & Interpretation;翻訳と通訳)、そしてCIです。

このCIまたT&Iの学生のうち希望者が2年次の秋に経験するのが Fall Forumです(ウェブサイトはこちら:http://sites.middlebury.edu/fallforum2011/)。希望者は、100人以上の収容空間を有すると思われるIrvine講堂で2分程度の逐次通訳を行うことになります。したがって当大学院ではプロの通訳者になるための一種の「通過儀礼rite of passage」の1つとみなされています。または「度胸試し」と言って もよいでしょう。

僕も参加した2011年のFall Forumは11月18日(金)の14時から18時にかけて開催されました。昨年のテーマは「性教育」と刺激的でしたが、今年のテーマも刺激的で “Are You Really Free . . . ?”でした。つまり「あなたは今、本当に自由ですか・・・?」。Forumの紹介文には次のようにありました。

“Many of us take freedom for granted as a universal right, but the struggle for freedom has caused countless conflicts, and even war.”(私たちの多くは自由が1つの普遍的権利であると当然のことのように考えています。しかしこれまで自由を獲得するための闘争によって数知れぬ紛争、時には戦争まで生じています。)

日常生活を何気なく送っていれば問いかけることを忘れてしまうような、虚を突くようなこの命題。これをめぐって3つのセッションが開かれました。

3つのセッションとは「第1セッション:移民」「第2セッション:新しいテクノロジー」「第3セッション:ジェンダー(性)役割」です。当大学院に在籍する様々 な経歴・職歴を持った教員・学生にスピーカーとなってもらい、各テーマについて自国の言語で語ってもらいます。そして参加を決めた通訳を学ぶ学生は通訳者としてスピーチを聞き、ノートを取り、聴衆の前で通訳を披露します。

日本語話者のスピーカーが登場したのは第2、3セッションでした。第2セッションのスピーカーは本校MBAコースに在籍中の日本人留学生で、約1年前に発生した未曾有の災害「東日本大震災」の際にFacebookやTwitter といった新テクノロジーがいかに役立ったのかを、震災当日を振り返りながら話してくださいました。それを日本語プログラムのT&IとCIの学生1人ずつが逐次通訳を行いました。

一方、第3セッションのスピーカーはT&I在籍の日本人留学生で、日本のメディアにおいて同性愛がどのように扱われているのかについて意見を述べました。その後、CIの学生2人が逐次通訳を行いました。この学生2人のうちの1人が僕でした。

当日、自分の出番になるまでは「演台では緊張するかな・・・」と不安を抱えていました。しかし実際始まってみるとノート取りに夢中になり、その結果、それほど緊張しなくても済みました。しかし授業や友人との練習とは異なる大舞台での通訳ということでうまくノートが取れず、最後の方では一時、間が空いてしまってヒヤッとした場面も。ですが最後は何とか無事終わらせることができました。

毎年、このFall Forumでは極度に緊張してしまってまったく通訳ができなくなってしまう学生や泣き出してしまう学生が1人は出るそうです。しかし今年はそのような学生は1人もおらず、全体的に成功裡に終了しました。

尚、僕は通訳に加え、第2セッションの司会を務めるという機会にも恵まれました。司会は日本語で行い、CIの学生1人が通訳を担当しました。僕も東京で震災を経験し、 また仙台出身で震災時に家族が仙台にいたということもあり、震災の際に新テクノロジーがいかに効果を発揮したのかについて少し話させてもらいました(司会の様子は写真を参照)。

このブログをお読みの皆さんはモントレー国際大学院への入学をお考えの方が多いと推察します。もしCIもしくはT&Iとして入学された場合にはぜひこのFall Forumへ参加してみてください。素晴らしい体験、つまりプロの通訳者になるための度胸がきっとつきますよ。この意味でFall Forumはまさに通過儀礼なのです。